作成日:2021.08.12更新日:2021.08.12
AutoCAD の毎年ランニングコスト、なんとか抑えられないかな…?というお悩みから、AutoCAD 互換 CAD を検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、AutoCAD 互換 CAD の中でも国内で最も利用されている IJCAD の、ライセンス形態の違いについて詳しく解説しています。
価格の違いについては、下記の記事をご参照ください。
■ AutoCAD と IJCAD で価格に違いはある?導入後のコストも含めて徹底比較!
AutoCAD は、2016 年から段階的に永久ライセンスが廃止されて以降、サブスクリプションライセンスのみとなりました。
サブスクリプションライセンスとは、期間が指定されているライセンス形態のことです。
AutoCAD の場合は「1 ヶ月、1 年、3 年」から選択することができ、ライセンスが切れたら再びサブスクリプションライセンスを購入する必要があります。
永久ライセンスは1度購入すれば永久的に利用できるライセンスのため、長く使うほどお得になります。しかし、サブスクリプションライセンスと比べると高価で初期投資に莫大なお金が掛かるため、個人や小規模企業ではとても購入できる価格ではありませんでした。
サブスクリプションライセンスは、AutoCAD を使いづづける限り永続的に利用料金が掛かり続けますが、1度に払う金額は(サブスクリプションの期間にもよりますが)永久ライセンスよりも非常に安価で個人でも購入を視野に入れられるような金額です。それにより AutoCAD のユーザー数が増え、結果的に Autodesk はさらに売り上げを伸ばすこととなりました。
短い期間でみるとサブスクリプションライセンスとなったことで AutoCAD を購入しやすくなりましたが、長い期間でみると結果的に永久ライセンスよりも高額となってしまうことも事実です。
そのような場合にコスト削減として検討される製品が、AutoCAD 互換 CAD でした。
さて、AutoCAD ではサブスクリプションライセンスのみとなりましたが、ライセンスの形態も「シングルユーザーサブスクリプション」(ユーザー単位ライセンス)へ一本化されました。
これは、Autodesk のクラウドサーバー上でライセンス情報が管理され、AutoCAD を利用する際にネットワーク経由でそのユーザーが AutoCAD のライセンスを保有しているかを確認します。保有していれば AutoCAD が起動し、保有していない場合や期限が切れている場合などは AutoCAD を起動することができません。
これまで一般的だった各企業内でライセンスサーバーを構築してライセンス管理する形態と比べ、物理的なサーバーの導入や運用保守等が不要となり、ネットワークにつながる環境ならどこでも AutoCAD を使うことができるようになりました。
しかし一方ではオフラインでのアクティベーションができないなど、一部の環境で AutoCAD を使いにくくなってしまったことも事実です。
(限定的に販売されている永久ライセンスや教育機関用ライセンスではオフラインアクティベーションが可能ですが、一般的なサブスクリプションライセンスでは不可となりました。)
一度オンラインでアクティベーションが行えたら 30 日間はオフラインで利用することが可能ですが、30日ごとにオンラインへアクセスし、ライセンスの有効期限チェックが必要です。
IJCAD は、AutoCAD と近い操作感が特徴の 2 次元汎用 CAD です。
Jw_cad と同じ国産 CAD ならではの機能として、DWG だけでなく JWW ファイルの読み込み、書き出しも可能となっています。
AutoCAD と互換性のある CAD としては、IJCAD のほかにも BricsCAD や ZWCAD が挙げられますが、日本国内では IJCAD のシェアが最も高くゼネコンや官公庁でも利用されています。
IJCAD は、現在でも永久ライセンスのみで販売されています。
ライセンス形態も「スタンドアロン」「ネットワーク」「USB」の3種類から、利用用途に合ったものを選択できます。
それぞれのライセンスにどのようなメリット、デメリットがあるのかみてみてましょう。
スタンドアロンライセンスは、1台のパソコンに1ライセンスが固定されるタイプのライセンスです。
ライセンス固定型なので、オフラインでアクティベーションし、そのまま利用することも可能です。
デメリットはライセンスの共有ができないことにありますが、その分メリットとしてネットワークや USB ライセンスと比較して安価な価格設定となっています。
個人で使う場合や、CAD を利用する人やパソコンが決まっている場合は、スタンドアロンライセンスで問題なさそうです。
ネットワークライセンスは、企業内にライセンスサーバーを設置してライセンス管理を行うタイプのライセンスです。
ネットワークライセンスで、例えば契約ライセンスが 100 ライセンス、利用者が 150 人いる場合、最初に IJCAD を起動した 100 人までがライセンスサーバーから有効なライセンスを取得でき、残りの 50 人はライセンスが返却されるまで IJCAD を利用することができません。所謂先勝ちのライセンス形態です。
ネットワークライセンスは上記のようにライセンスの共有が可能であるため、「CAD を利用するユーザーは不特定多数だがほとんどが常に CAD を利用しているわけではない」という場合に非常に便利です。
メリットは先述したようにライセンスを共有できることにあります。
デメリットはライセンスサーバーの設置や運用保守にもコストがかかることや、社内ネットワークに接続できないところで IJCAD を利用したい場合にオフライン申請の手間がかかります。
USB ライセンスは、USB 自体が IJCAD のライセンスキーとなっているタイプのライセンスです。
専用の USB プロテクタをパソコンに挿して IJCAD を起動することで、オンライン / オフライン関係なくどこでも IJCAD を利用することが可能です。
メリットは、物理的なキーのためライセンスの共有が手軽に行え、少人数での CAD の利用や持ち運びに便利なところです。
デメリットとしては、USB 自体に破損や紛失の恐れがあるところです。物である以上、壊れないものはありませんし、USB は小さいものですから注意していても紛失してしまう可能性は否めません。
客先で IJCAD を使おうとしたときに、USB の接触が悪いと起動できないこともあるかもしれません。
このようなメリット、デメリットを考慮して購入するライセンスを選択できると良いですね。
AutoCAD、IJCAD のライセンス形態を見てみました。
それぞれにメリット、デメリットがありますので、購入数や利用頻度などを考慮して最適なライセンスを見つけてみてください。
【参考記事】
■ AutoCAD と IJCAD で価格に違いはある?導入後のコストも含めて徹底比較!
■ IJCADの価格は安い?高い?グレード別の価格をこれから導入する方へ向けて超分かりやすく解説